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【重要】

経済安保推進法の基本方針(案)についてのパブコメ意見例

経済安保法に異議ありキャンペーン

 

 

◎パブコメの入力について

「(1)経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する基本的な方針」について意見を述べます。」として以下の文例を参考にしていただいても結構です。制限字数は1万字です。また何回記入してもよいようです。

◎パブコメのURLです⇒ https://bit.ly/3P0HqUN

(1)の基本方針は下記のURLで読めます。

https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000239214

 

◎また軍学共同研究反対連絡会のニュースレター(下記のURL)に解説記事が掲載されていますので参考にしてください。

http://no-military-research.jp/wp1/wp-content/uploads/2022/08/NL70.pdf

 

パブコメ意見の例

 

1)法律の施行と運用に向けたスピードが早すぎ、国民の声を吸い上げる余裕が見られない。透明性を高めたうえで、十分な議論を尽くしながら、もっと時間をかけて進めるべきです。このままパブコメで「ガス抜き」をして、9月には運用をもくろむとすれば、非民主的な進め方なので廃止を強く要求します。

 

2)経済安保推進法は、本法の重要な内容である第2条(基本方針)、第6条(安定供給確保基本指針)、第60条(特定重要技術の開発支援の基本指針)、第65条(特許出願非公開基本指針)など国会で審議すべき内容を議論せず、枠組みだけを決め、肝心な部分を政府に白紙委任した法律であり、国会や議会制民主主義を著しく軽視するものです。廃止する以外にありません。

 

3)本法の実施におよんで138ヶ所も政省令で細目を定め、しかも国会報告の義務すらありません。これでは政府による恣意的な運用、場合によっては暴走を止めることが困難です。

そのような法は直ちに廃止すべきです。

 

4)経済安保法は、アメリカの戦略に追随し、中国に経済戦争を仕掛け、経営の非効率化をもたらしかねない法で、経済発展自体を阻害しかねないものです。ただちに廃止するよう求めます。

 

5)経済安保法は経済施策を装って、防衛装備に役立つ先端技術開発のために企業や科学者・技術者を罰則を伴った守秘義務で囲い込み、軍事力の増強に従わせる法律です。しかもそのために5,000億円の基金を創設し、科学技術政策を軍事化することになります。日本版の「軍産学複合体」の形成にもつながりかねない悪法であり、廃止を求めます。

 

6)「経済安全保障」の定義が示されていません。国会審議で何度も問題にされていましたが、少なくとも基本方針においては、明確な定義を示すべきです。経済安保の課題は4本だけ(第2条(基本方針)、第6条(安定供給確保基本指針)、第60条(特定重要技術の開発支援の基本指針)、第65条(特許出願非公開基本指針))ではないとして、秘密保護法、土地規制法やセキュリティ・クリアランスやその他を組み込んで、かつての大本営を構築するとすればゆるされません。廃止を求めます。

 

7)「経済活動に関して行われる国家及び国民の安全を害する行為」という規定があるが、こ具体的に何を指すのか不明です。恣意的に運用される危険性が大きい表現で定義をすべきです。

 

8)「秘密」の定義がなく、「秘密」それ自体を秘密にすることもでき、恣意的に秘密指定が可能で、民が官へ忖度したり官へ癒着したり、従属、さらには民への天下りによる民の支配を生み出す危険性があります。また恣意的で過剰な取り締まりが危惧されます。

 

9)秘密指定のある協議会に加わった研究者には、研究発表の自由を奪われ、国会審議では社会実装の手前までと説明しながら、社会実装を目指すことが明らかになっています。軍事研究にかかわることを拒否して、協議会から離脱できるのか否かも不明です。

 

10)「合理的に必要と認められる限度」「真に必要な」という用語がたびたび出てきますが、この二つの違いは何なのでしょうか?あいまいで恣意的な判断を許すものです。厳格な表現をしないところに、法の運用上の危なさを感じ、廃止を求めます。

 

11)法第4条第3項には「国は、安全保障の確保に関する経済施策を総合的かつ効果的に推進するために必要な資金の確保その他の措置を講ずるよう努めるものとする」ありますが「必要な資金」の内容が述べられていず、これも恣意的に運用される可能性があります・本法にはこのように無数に、あいまいな表現がなされており基本方針でも明確ではありません。

 

12)法第7条に規定されている「~外部に過度に依存し…」「我が国の外部から行われる特定社会基盤役務の安定的な提供を妨害する行為」などに用いられている「外部」とは何か不明です。「我が国の外部」とは外国? 国内にいる外国人は? 明確に記述すべきところと考えます。

 

13)国家安全保障局と内閣府の経済安全保障推進部局の相互協力が何度もうたわれていますが、国家安全保障局を頂点として、かつての「大本営」のような権力集中機関が形成され、国家総動員体制が作られることを憂慮します。本法を運用するということなら権力を相互にチェックする仕組み(何らかの規制委員会)を組み込むべきです。

 

14)「市場や競争に過度に委ねず、政府が支援と規制の両面で一層の関与を行っていく」としていますが、これは政府による支援(アメ)と規制(ムチ)を通した歯止めのない民間支配につながるおそれがあります。対象事業者による政府への忖度や癒着、また、官僚の企業への天下りなどの温床にもなりかねません。本法を運用するということなら、こうしたことを防ぐための具体的な措置を定める旨を明記すべきです。

 

15)政府が「支援と規制」の名のもとに事業者等との間で「必要な連携を図っていく」ことは、一部事業者との不適切な癒着関係を生じさせかねません。少なくとも、政治家・公務員と事業者とのメールや面会記録等の逐一を、公文書に記録し、請求があれば速やかに開示するものとすることを明記すべきです。

 

16)米国の対中国戦略に追随する姿勢が色濃く反映されており、緊張関係を深めるばかりになりかねません。経済制裁的な対抗措置を先行させるのではなく、国際協調主義に立った粘り強い外交交渉こそを基本に位置付けるべきです。

 

17)「経済安全保障法制に関する有識者会議」の人選の基準を明示すべきです。また、法律に批判的な識者を補充すべきです。

 

18)「経済安全保障法制に関する有識者会議」の内容について、議事概要ではなく、発言者名を明記した議事録を公開すべきです。

 

19)「自律性の確保」の注釈に、土地規制法による、土地等の「不適切な利用行為を規制するための取組」が挙げられています。土地規制法は、私権を制限し、住民監視を強め、軍事基地等への反対活動を弾圧するおそれがある違憲の法律であり、本法とともに廃止すべきものです。

 

20)政府の戦略にかなう研究開発の推進は、それ以外の分野の研究予算を減少させ、学術研究体制にゆがみをもたらしかねません。その結果、日本の研究力はますます低下し、世界に遅れをとることにもなりかねません。

 

21)「同盟国・同志国」や「価値観を共有する」国とのかかわりに偏重し、中国を念頭に短絡的な施策に走るのではなく、これまで培ってきた国際商習慣や経済合理性を尊重し、外交交渉によってどの国とも友好的関係を確立すべきで、経済制裁のような形での政策はやがて自らに跳ね返ってくることが、ウクライナ問題でも明らかです。

 

22)「基本的な考え方」においては、軍事に偏重した考え方の下で「安全保障」という言葉が使われています。「国家及び国民の安全を経済面から確保する」として、軍事的観点から政府が経済に介入するのであれば、まさにかつての国家総動員法に他ならず、極めて危険です。

 

23)「大川原化工機」の幹部ら3人が、軍事転用可能な噴霧乾燥機を無許可で輸出したとして逮捕・起訴され、その後に起訴が取り消されたという、経済安保法の先取りとも言うべき冤罪事件が起きています。この法律の中では、同様の悲劇を防ぐための実効的対策は講じられていません。抜本的見直しが不可欠です。

 

24)法の施行状況について、国会や市民への公表はもとより、措置の対象者と政府の双方向のコミュニケーションが対等・平等に行われることが担保できるような評価組織をつくるべきです。

【重要】

特定重要技術の研究開発の促進及び

その成果の適切な活用に関する基本指針(案)についてのパブコ意見例

 

経済安保法に異議ありキャンペーン

 

◎パブコメの入力について

「(3) 特定重要技術の研究開発の促進及びその成果の適切な活用に関する基本指針(案)」について意見を述べます。」として以下の文例を参考にしていただいても結構です。制限字数は1万字です。また何回記入してもよいようです。

 

◎パブコメのURLです⇒ https://bit.ly/3P0HqUN

(3)の基本指針は下記のURLで読めます。

https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000239216

 

◎また軍学共同研究反対連絡会のニュースレター(下記のURL)に解説記事が掲載されていますので参考にしてください。

http://no-military-research.jp/wp1/wp-content/uploads/2022/08/NL70.pdf

 

パブコメ意見の例

 

1)先端技術、新興技術は安全保障上の用語(pp.1-3)

「近年、科学技術・イノベーションが激化する国家間の覇権争いの中核を占めている」「主要国は安全保障上の脅威等への有効な対応策として、先端技術の研究開発・活用を強力に推進している」(p.3)という。ここでいう先端技術=特定重要技術はAI、量子、極超音速飛行等の新興技術であり、デュアル・ユースと称して印象を柔らかくしてはいます(得意の印象操作)。「安全保障上の脅威等への有効な対応策」とは軍事研究にほかなりません。それをアカデミアやスタートアップ企業に担ってもらいたいという。

2)「他国に優位する技術を保有し、社会実装につなげていくことは、国民生活の向上等にとどまらず、世界が直面する様々な課題への積極的な貢献」(p.4)と述べて、「国際社会において確固たる地位を確保し」「他国に優位する」と、ナショナリズムを鼓舞するような記述がなされています。ウクライナ問題や米中対立を好機とばかりに、軍拡政策に呼応して、中国やロシア、北朝鮮などとの緊張関係を作り出す内容となっていて、是正が強く求められます。

 

3)「世界が直面している課題は何か?」国会審議の中で小林担当大臣は「得られた成果が、民間における用途のみならず、防衛省自らの判断によって活用されることはあり得ると考えております。」(衆院内閣委員会3月30日)と述べていたが案文には「あり得る」ではなく「国民生活の向上等にとどまらず、世界が直面する課題への積極的な貢献」(p.4)を果たしたいと明記している。「世界が直面する課題」といえば、地球温暖化問題、核兵器禁止問題が真っ先に浮かぶが、しかし、ここではそれではなく、米国の世界戦略の転換にともなう日本の安全保障上の課題です。ウクライナ問題で明らかになったように経済制裁という経済力での対抗は仕掛けた国に反撃が浴びせられることがハッキリしてきています。ASEAN諸国のように、力の対抗ではなく粘り強い外交努力を基軸に据えるべきで、このような法律は廃止がすべきと思います。

 

4)協議会による開発研究の社会実装 特定重要技術研究開発の重要なポイントは協議会を設置して研究開発を進めることにあります。協議会では「機微な情報の共有にとどまらず、社会実装のイメージや研究開発の進め方を議論・共有する」「規制緩和の検討や国際標準化の支援など、組織の枠を超えた協議が行われることが期待される。」「協議会参加者が納得する形で、技術流出対策を講じるべく対象範囲やオープン・クローズ戦略を決めていくことも期待される。」(p.9)としており、協議会の趣旨には特定重要技術の社会実装を実現することも含まれています。国会審議で小林大臣は「この協議会というかこの枠組みというのは、防衛装備品を始めとする具体的製品の開発を直接支援するものではないんです。… イメージですけれども、ここの協議会、この官民技術協力の枠組みで対象としようとする研究開発の対象というのは社会実装に至る前までのことでございまして、そういうものとしてこれを捉えていただければと思います。」(衆院内閣委員会、2022.3.25)と答弁していましたが、明らかに齟齬があるので小林担当大臣の説明に合わせるべきです。

 

5)「研究開発等に従事する者、協議会を組織しようとする研究開発プロジェクトに係る研究代表者、実質的に研究内容を把握し、研究チームを率いている者」、「研究開発等を代表する者として相当と認められる者」が複数存在すると認められる場合は、その全てから同意を得ること」(p.10)としていますが、研究代表者が「相当」と認められないケースを想定してこのような代表者の例示をしているのか不明ですが、「相当」とはいかなるものを求めているのか不明で、恣意的な運用を可能にしています。

 

6)協議会設置に同意は強制されない! 「研究開発大臣による同意の取得は書面で行う」、「研究開発等を代表する者が同意を強制されることはない」、「研究開発のテーマによっては、募集時等に協議会の設置を念頭に置いている旨を明示することも可能」また「協議会の組織に係る同意を採択の条件にすることや、同意しない者を不利に扱ってはならない。」(p.10)とあります。

この記述は有識者や財界からの提言、国会の審議で指摘された協議会についての問題点を意識したものになっており、研究者の自主性を尊重してはいますが、問題はそのように確実に運用できるのかが問われます。大規模な予算上の優遇、官民の協力、機微情報の開示というアメが研究者の前にぶら下げられます。優遇は安全保障技術研究推進制度の比ではなく、極めて乏しい大学予算では苦しんでいる研究者のほっぺたを金でたたいて引き込む仕掛けとなっています。

 

7)罰則付き守秘義務が課せられる研究エリア 協議会にはまず官民連携を通じた伴走支援を行うことが期待される。機微な情報が開示されるので罰則付きの守秘義務が課せられるため、まず安全管理措置(取り扱う区域の管理、機器及び電子媒体等の盗難等の防止、電子媒体等を持ち運ぶ場合の漏えい等の防止、機器、電子媒体等の廃棄など)が厳しく求められます。守秘義務が課せられる研究環境は大学や研究機関に監視エリアを作りだすことになります。研究交流や研究発表、論文発表については秘密事項は最小限にとどめるとしているが、それを担保する仕掛けは作られていません。また研究はとかく計画通りには進まず、横道にそれることが多く、その横道で思わぬ成果が生まれることがあります。協議会に進捗状況を管理されていては、横道に入ることなどは不可能で、企業の商品開発的仕掛けは、さらに先端的で創造的な研究は生まれないといえます。

 

8)協議会の構成員 協議会の構成員として、「国の関係行政機関の長、当該特定重要技術の研究開発等に従事する者、特定重要技術調査研究機関、研究開発大臣が必要と認める者をその同意を得て構成員として加えることができる」(p.11)としています。具体的には「潜在的な社会実装の担い手として想定される関係行政機関の長又はその職員、研究開発の実施者、連携相手となる研究機関又はその役職員、シンクタンクやその役職員、更には、資金配分機関又はその役職員、その他社会実装に関係する者等が想定される。」(p.11)という。この構成は協議会による社会実装の実現と研究成果の評価までを含む構成となっており、研究者の自由な発想が塞がれてしまうことが危惧されます。

 

9)国会審議でも指摘があったが、協議会への参画や離脱は自由で、離脱しても不利益な扱いは受けないとされています。協議会を離脱しても研究チームに残ることが可能だといいますが、その際、どのように研究に係るのかが不明です。また軍事研究が明確になれば、ユネスコの「科学及び科学研究者に関する勧告」「科学技術の発展が人類の福祉、尊厳及び人権を損なう場合又は‘軍民両用’に当たる場合には、科学研究者は、良心に従って当該事業から身を引く権利を有し、並びにこれらの懸念について自由に意見を表明し、及び報告する権利及び責任を有する」(第39回ユネスコ総会採択、2017.11.13)に抵触し、ユネスコの勧告を無視することにもなりかねません。多くの大学が軍事研究をしないとする倫理綱領や理念を鮮明にしていますが、官民協議会で防衛省や軍需産業側が伴走しているならば、それは軍事研究そのものであり、研究者は大学の理念や倫理綱領との間で、二つに引き裂かれた存在となる。大学の自治、学問の自由の侵害であるばかりか、基本的人権の侵害にもなりかねませんが、政府はこれとどう対処するのかが不明です。第90条国際約束の誠実な履行を「留意しなければならない」としていますが国際約束がWTOを念頭に置いているものと考え、範囲を広げる必要が不可欠である。

 

10)内閣総理大臣は、各協議会が参考とするためモデルとなる規約を示すこととしている(p.12)。協議会の運営は、当該特定重要技術の①研究開発に有用な情報の収集、整理及び分析に関する事項、②研究開発の効果的な促進のための方策に関する事項、③研究開発の内容及び成果の取扱いに関する事項、④研究開発に関する情報を適正に管理するために必要な措置に関する事項、⑤その他、となっています。(p.12)。

協議会に参画した研究者は研究以外にかくも多くの課題に付き合わされるのでしょうか。協議会での議論は全会一致で進めることになっており、運営上はかかわらざるを得ない仕掛けになっています。

 

11)研究者への制約 制約的要素は必要最小限度とし、研究成果は公開を基本、論文などの成果発表は、守秘義務の対象となる情報を除き、制約を課さないで原則公開する。研究成果による特許権等の帰属については、日本版バイ・ドール制度の適用を基本。個々の技術について日本版バイ・ドール制度を適用しない場合は協議会で、全ての参加者が納得する形で決定する(p.14)。とあります。

守秘義務の対象となる情報を除くのは当然のことで、制約は「必要最小限」、守秘義務の情報を除き「制約を課さないで原則公開」となっていて、あたかも制約は最小限、原則公開を思わせる記述になっていますが、守秘義務情報はしっかり制約されており、ここでの説明は印象操作が著しく誤解を生む可能性があり、こうした記述は削除すべきです。

 

12)罰則付き守秘義務下、加えて「官民伴走」で創造的な研究がうまれるか?

「必要な情報の提供」「資金の確保、人材養成等」「特定重要技術調査研究機関と協力して調査研究を実施」し、国が持っている情報や企業の情報などを研究グループに開示するという(p.4)。

そのために厳しい罰則付き守秘義務が関係者に課せられる。守秘義務の管理のために、情報管理体制が必要になる。研究開発はしばしば失敗や横道にそれてしまったときに意外なことが見いだされる。官民伴走で研究の進捗状態が計画、管理されたとき横道にそれることが許されるのか、横道にそれる研究の自由は検討されていない。

 

13)特定重要技術は3類型のいずれかまたは複数類型にまたがるものと定義され、「外部に不当に利用され」とありますが、外部とは何をさすのか、何に対する外部なのか全く不明です。

 

14)調査研究を実施する技術領域として20の技術領域がリストアップされましたが、これは「米国重要・新興技術(CET)国家戦略2020」を基礎にしたもので、CETは全米科学技術会議(NSTC)が国家安全保障に関連する活動に反映させるデータとして公表されているもので、アメリカの軍事戦略の一翼を担うことが明確です。自律的な領域選択ではなく、しかも民間のシンクタンクに選択を任せた無責任きわまりないリストアップです。

 

15)先端技術という用語が「安全保障上の脅威等への有効な対応策として、先端技術の研究開発・活用を強力に推進」というように、安全保障上の対応策が念頭に置かれています。にもかかわらず、民用に力点をおいた表現が多く、この法律の真の狙いを隠すものです。

 

16)「近年急速に進展しつつあるAI、量子等の新興技術の研究開発は、アカデミアやスタートアップ企業を含めた多様な主体がボトムアップで推進しており、先端技術の研究開発を担う主体に変化が生じている」(p.3)とあります。

アカデミアなどからのボトムアップで新興技術が生まれてきていることの認識は大事ですが、非常に貧しい研究費の中で、先端技術の種が生まれているのですから、成果を刈り取るだけではなく、ボトムを形成するアカデミアが充実する政策が不可欠です。この法では成果の刈り取りのために5,000憶円の基金を投資することになっています。これではボトムでの予算はさらに縮小されることになり、研究力はますます低下してしまうことになり、安易な技術政策は中止すべきです。

 

17)シンクタンクによる先端技術の研究開発計画は、アカデミアで展開されている特定重要技術(20領域)分野の研究開発プロジェクトによる課題解決型の公募や、特定重要技術分野に目配りし、新興技術を目利きしたりする行為は研究者の個人情報、研究環境の情報の収集につながるとともに、民間企業の活用あるいは公的活用のための社会実装へとつながります。国会審議では「社会実装の手前まで」という小林担当大臣の回答とは違っています。しかも公的活用の情報技術を別にすると「公」は防衛省の活用、つまり防衛装備品づくりが見えてきます。

 

18)さらに、優秀な人材をシンクタンクに集め、創造的な研究の政策的リードを図ろうとしていますが、問題解決型技術開発の目利きを期待するシンクタンクからは、防衛分野や政財界がよろこぶ分野の研究の一つ二つは生まれても、創造的な研究の政策的リードは困難といえます。シンクタンクを、学位を出せる組織にという意見さえありますが、高等教育への介入の危険をもたらします。

 

19)「国家及び国民の安全を損なう事態を生ずるおそれがあるもの」の定義がなく恣意的に運用が可能で、予見可能性がなく研究者に機微な技術の範囲が明確にならない可能性が高く、論文・口頭発表などに自己規制をかけることにより、研究交流の大きな障害となります。研究は公表され、議論され研究成果の質が保障されるもので、秘密指定に対して、研究・発表の自由が保障される「規制制度」が不可欠と考えます。

 

20)「秘密」の定義がなく、「秘密」それ自体を秘密にすることもでき、恣意的に秘密指定が可能で、民が官へ忖度したり官へ癒着したり、従属、さらには民への天下りによる民の支配を生み出す危険性があります。また恣意的で過剰な取り締まりが危惧されます。

 

21)秘密指定のある協議会に加わった研究者には、研究発表の自由を奪われ、国会審議では社会実装の手前までと説明しながら、社会実装を目指すことが明らかになっています。軍事研究にかかわることを拒否して、協議会から離脱できるのか否かも不明です。

 

22)国家安全保障局と内閣府の経済安全保障推進部局の相互協力が何度もうたわれていますが、国家安全保障局を頂点として、かつての「大本営」のような権力集中機関が形成され、国家総動員体制が作られることを憂慮します。本法を運用するということなら権力を相互にチェックする仕組み(何らかの規制委員会)を組み込むべきです。

 

23)「経済安全保障法制に関する有識者会議」の人選の基準を明示すべきです。また、法律に批判的な識者を補充すべきです。

 

24)「経済安全保障法制に関する有識者会議」の内容について、議事概要ではなく、発言者名を明記した議事録を公開すべきです。

 

25)「公的分野での活用が一定程度見込まれる段階に至った時点で、当該技術の詳細が公開されることにより公的利用に支障が生じる場合には、例外的ではありますが、協議会で合意された対応方針を踏まえ、一定の情報をノウハウとして管理するなどの適切な対応が求められる。(p.14)」とあります。

この記述は民間分野の活用ではなく公的分野の活用が問題にされています。公的活用とする表現がたびたび出てきますが、研究成果を公的活用すれば情報関連技術を除くと、ほぼ防衛省ではないかとみられます。公的分野などというあいまいな表現はお得意の印象操作といえます。

 

26)研究成果の取扱い 「関係行政機関等から協議会構成員に対し、例外的に、研究成果を非公開として扱うべきとの要請が行われた場合、協議会において規約等に従って全ての参加者が納得する形で、速やかに結論を出すことが期待される。… 協議会において結論を出すことができなければ、… 成果の公開に制約が課されることはない。また、こうした要請を行った事実自体は秘密には該当しないことから、守秘義務の対象とはならない。」(p.15)

研究成果の軍事転用についてですが、全員一致の協議会で結論が出なかった場合は成果の公開に制約がないばかりか、そうした要請自体が秘密にならないという。罰則付きの守秘義務のある情報を得ていて、結論がでなかったから研究成果や非公開の要請の事実は秘密に該当しないとするの意味が判然としません。

 

27)特定重要技術の開発支援(今年度はとりあえず5千億円)の投資は、基盤的基礎研究費を圧迫し、予算が回らず、研究の多様性が保証されず、創造的研究を逼塞させる危険性があります。

 

28)政府の戦略にかなう研究開発の推進は、それ以外の分野の研究予算を減少させ、学術研究体制にゆがみをもたらしかねません。その結果、日本の研究力はますます低下し、世界に遅れをとることにもなりかねません。

 

29)基礎科学研究情報、技術開発情報の政府AIによる個人研究者情報の管理統制の恐れがあります。

 

30)協議会が支援伴走する一気呵成の開発研究による社会実装は、研究者を消耗させることになります。

 

31)プロジェクトごとに協議会(関係大臣、行政機関の長、研究代表者、シンクタンクで構成)を組織するときは内閣総理大臣と協議することとなっていますが、研究開発推進に有用な情報の共有、社会実装に向けた制度面の協力のためにこのような大げさな組織を設置する理由が不明です。

 

32)セキュリティ・クリアランスは秘密保護法とあいまって基本的人権の侵害、監視社会化が危惧されます。

 

33)特許非公開にかかわる研究発表の差し止めは技術開発の停滞のみならず、研究交流への規制、研究の自由の侵害、個人情報の収集管理及び統制を引き起こします。発明者の権利がどの程度保障されるのかも不明です。

 

34)「大川原化工機」の幹部ら3人が、軍事転用可能な噴霧乾燥機を無許可で輸出したとして逮捕・起訴され、その後に起訴が取り消されたという、経済安保法の先取りとも言うべき冤罪事件が起きています。この法律の中では、同様の悲劇を防ぐための実効的対策は講じられていません。抜本的見直しが不可欠です。

 

35)法の施行状況について、国会や市民への公表はもとより、措置の対象者と政府の双方向のコミュニケーションが対等・平等に行われることが担保できるような評価組織をつくるべきです。